怪物という言葉では物足りない強烈なインパクト、そして何より、恐ろしいほどの可能性。
深淵のような、深く暗い、巨大で力強い、計り知れない未来を佐々木朗希はグランドで示してみせた。
彼にとっての完全試合は、1試合=9イニングでは足りないのだ。
終わる事なく続くゼロの更新、行進、降神。
3回をすぎたあたりだろうか、彼がマウンドに立っただけで、スタジアムはザワザワと波立ち、不可思議な空気が渦巻いていた。
日本人が長く愛してきた「野球」というスポーツが若きバッテリーによって全く違う地平へと導かれていく。
怪物ではなく最早「超獣」と呼ぶべき佐々木朗希と18歳の捕手・松川虎生よって。
しかし他球団の選手達は漫然と討ち取られるばかりではないはず。
必ず、彼らを打ち下そうとする者は現れる。その企みはきっと、始まっている。
その時「野球」は新たな地平へと進化を遂げるのだろう。
いやはや、トンデモナイ、僥倖。
超獣が、やってきた。