甲子園出場の為に、いったい、どれほどの才能が、学校、監督、メディア、時には親の、身勝手な勝利最優先、甲子園至上主義の犠牲になっただろうか。
念願かない甲子園に出場したとしても、腕も折れよとばかりの熱投、連投、そして苦投。
結局、プロの世界に進んでも、既に将来性は削られていて、花咲くことなく、グラウンドを去った「球児」が何人いたことか。
みちのくに生まれ、千葉で大切に育まれた剛腕は、無限の可能性を、示してみせた。
恐るべき完全試合だった。
そして剛速球と変化球を絶妙に組み立てて、怪物のストーリーを描いた女房役は3月まで高校生だった。
ロッテのスカウトが「怪物の女房役」として去年、紀州の逸材を獲得していたとしたのなら、その慧眼には、唯々、感服しかない。
桜の季節に野球の神様がくれた、若きバッテリーの痛快無比な下剋上物語。
佐々木朗希20歳、松川虎生18歳。
令和の怪物と女房役、ふたりはまだ、進化の途中だ。