戦禍の只中にあるウクライナ。
その国旗は早春の青空と、その下で一斉に咲く菜の花に似ている。
首都圏近郊ならば、千葉県の美しい春の風景を思い出す。
本来ならば、美しい春を迎えるはずだったのに、伝わってくるのは小雪舞うなかで、逃げ惑う人々、禍々しい黒煙、そして銃声と爆音。
何の手立ても持てない中で、暴君への苛立ちばかりが募る。

あの来日の際、自称柔道家の暴君に贈呈してしまった嘉納治五郎師範直筆「精力善用」の書、残念でならない。
贈呈にも携わった山下泰祐JOC会長が柔道家として語るべきは「皆さんが思うほど彼とは親しくない」ではない。柔道家として暴君に呼びかけるすべ、そんな平和的なチャンネルを貴方は持っている。どうか平和を求める発信をと願うばかりだ。

ロシアの国花はひまわりだという。

映画「ひまわり」はソフィア・ローレンとマルチェロ・マストラヤンニ演じる夫婦が戦争に翻弄される悲劇を美しい風景と壮麗な音楽で綴った名作だった。かつてソビエト連邦の一員だったウクライナで撮影されたという黄金色に輝く向日葵畑と空、そして別離。
戦争の悲劇は、どうか映画の中だけで、封印して欲しい。