北京大会最後のメダルセレモニーは冬季五輪の恒例通り、閉会式の中で行われた。メダル授与式の殿(しんがり)となったのはクロスカントリースキー男子。参加したすべての国と地域の選手と関係者、IOCのお歴々、各国のNFの関係者、ボランティア、観衆、そして世界中の視聴者に見守られた最高の舞台でのセレモニー。しかし、実際には、ちょっと複雑な光景となった。

金・銀メダリストはROC=ロシア五輪委員会の選手だった。センターポールに掲げられたのはロシア国旗ではない。そして、流れされた曲はロシア国歌ではなく”チャイコフスキーピアノ協奏曲第1番”だった。

ROC、僅かな点数を獲得するために、平然と若者の自由と健康を奪う「スポーツ大国」
100分の1単位での競い合いとなる採点競技に於いて、果たして人間の目は、100分の1とか、100分の2の差異を正確に見分けて判定を下す事が、本当に出来るのだろうか。
一方で、その僅か100分の1点を獲得するために薬物で身も心も汚されてしまう未成年のオリンピアン。

いっそのこと同じ不正ならば「審判を大金で買収」すること方が、マシな気さえする。

イビツなセレモニーを見ていて映画「冬の華」を思い出した。
高倉健演じる、やくざが自分の身分を隠して少女を陰で支え、最後はそっと少女の前から消えていく高倉健版「あしながおじさん」
ラストシーンで、未来に向けて歩む少女を後押しするように流れるのが
”チャイコフスキーピアノ協奏曲1番”だった。
名曲は「冬に咲く華」の未来を照らす希望の曲であって欲しい。